自賠責保険とは/交通事故
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自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)とは、ナンバーの交付を受けた自動車・二輪車・原付バイクが公道を走る場合に必ず加入しなければならない保険です。
自動車事故の増加に伴い、被害者が最低限の保障を受けられるために、法律で加入の義務が定められた国の制度です。自賠責保険の補償の範囲は死亡や負傷といった対人賠償のみであり、物的損害については補償されません。
また、自賠法3条は「他人の」損害を賠償しなければならないと定めているので加入者自身の損害を補償するものではありません。
ここでいう「他人」とは、自動車を運行の用に供する者と運転者、運転補助者以外の者をいうとされているので、例えば同乗者であっても「他人」に含まれます。
自賠責保険支払限度額(被害者1人あたり)
- 傷害による損害(総額120万円まで)
- 後遺障害による損害(等級に応じて4,000万円まで)
- 死亡による損害(最高3,000万円まで)
※ただし、加害者が複数いる場合(共同不法行為)は「×加害者数」が限度額となります。
保険金請求の種類
自賠責保険への請求方法には、被害者だけがすることができる「仮渡金請求」と、被害者・加害者ともにできる「内払金請求」・「本請求」の3種類があります。
<仮渡金請求>
仮渡金請求とは、賠償金(保険金)の支払いを受ける前に、当座の費用が必要な被害者がまとまった金額を受け取ることができる制度です。医師に入院や治療見込み日数のわかる診断書を書いてもらい、自賠責保険請求書類とともに自賠責保険会社へ提出すれば約1週間程で支払われます。ただし、仮渡金請求は、被害者が1回だけしか行うことができません。請求できる金額は下記のとおりです。
※死亡事故の場合⇒290万円
※傷害事故の場合
下記の場合は、40万円
- 入院14日以上かつ治療期間30日以上を要する場合
- 大腿骨又は下腿骨の骨折
下記の場合は、20万円
- 入院14日以上を要する場合
- 入院を要し治療期間30日以上を要する場合
- 上腕骨又は前腕骨の骨折
下記の場合は、5万円
- 治療期間11日以上を要する場合
内払金請求とは、治療費や入院雑費、休業損害などをその都度請求する制度です。損害額が10万円を超えた時点で請求することができます。加害者が請求する場合は10万円以上の賠償金を立て替えるごとに請求することができます。
<本請求>本請求とは、被害者の治療がすべて終了し、損害額が確定した段階で行う最終的な請求です。総損害額から仮渡金や内払金を差し引いた残額が支払われます。加害者が請求する場合は総損害額以上を被害者や医療機関に支払い済であることが必要です。
加害者請求と被害者請求
自賠責保険では、負傷した人を「被害者」といい、その相手方を「加害者」といいます。自賠責保険金の請求は被害者・加害者のどちらからでもすることができます。
被害者からの請求を被害者請求(自賠法16条)、加害者からの請求を加害者請求(自賠法15条)といいます。
※<被害者からの請求>
被害者本人・被害者の親権者・遺族・委任された人からの請求があります。
※<加害者からの請求>
加害者本人・加害者の加入する任意保険会社からの請求があります。
加害者の任意保険会社は、賠償金を一括して被害者や医療機関に支払った後、立て替えて支払った自賠責保険金部分を自賠責保険に請求し、回収します(一括払い)。
重過失減額
自賠責保険は被害者救済を趣旨とする保険ですから、被害者側に過失があったとしても原則として100%の保険金が支払われます(もっとも被害者側に100%の過失がある場合は保険金は支払われません)。
しかし、公平性の観点から、被害者側に70%以上の過失(重過失)がある場合は減額して保険金が支払われます。
時 効
自賠責保険金の請求権には時効があり、下記期間を経過すると保険金の請求ができなくなります。
〈被害者請求の場合〉
- 事故日が平成22年3月31日以前の事案:原則として事故の翌日から2年間(後遺障害の場合は症状が固定した日から2年間・死亡の場合は死亡日の翌日から2年間)
- 事故日が平成22年4月1日以降の事案:原則として事故の翌日から3年間(後遺障害の場合は症状が固定した日から3年間・死亡の場合は死亡日の翌日から3年間)
〈加害者請求の場合〉
- 事故日が平成22年3月31日以前の事案:被害者等に賠償金を支払った日から2年
- 事故日が平成22年4月1日以降の事案:被害者等に賠償金を支払った日から3年
なお、時効中断申請をしておくと時効は中断時から再度起算されるようになります。
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